138:真っ向から打撃、華和は高嶺の花_5

二人で合計約十万円を使った。

二人をホテルまで送り届けた後、蒼井華和は道端に来て、シェアサイクルをスキャンして乗って帰ろうとした。

以前の河内市と同じように。

唯一違うのは、河内市は四季を通じて春のようだが、帝都は一面の銀世界だということだ。

この季節は自転車に乗ると手が凍える。

でも蒼井華和は寒さを恐れなかった。

彼女がスマートフォンを取り出した瞬間、横から低い男性の声が聞こえた。

「乗れ」

蒼井華和は少し顔を上げた。

ちょうど男性の美しい切れ長の瞳と目が合った。

とても深く、沈んでいて、底が見えなかった。

男性は自転車にまたがり、もう一方の長い脚で地面を支え、そのまま蒼井華和を見つめていた。普通の姿勢なのに、無視できない気品が漂っていた。

高嶺の花のような。

そして少し野性的な反骨精神も帯びていた。