蒼井紫苑は頷いて、「まあまあです。周防先輩、私のことを心配しないでください。自分のことはちゃんと守れますから」
彼女が「まあまあ」と言った時、周防俊希はまだ心配していなかった。
しかし蒼井紫苑が自分を守るという言葉を続けて言った。
人はどんな時に自分を守るのか?
もちろん危険に遭遇した時だ。
これは、蒼井紫苑の新しい姉が善人ではないということを意味している。
その瞬間、周防俊希は蒼井紫苑のことをより心配になった。「紫苑、何か困ったことがあったら、すぐに私に言ってくれよ」
「うん」蒼井紫苑は頷いた。
周防俊希は家柄がよかった。
両親は海外で仕事をしており、周防俊希には妹が一人いて、本人も優秀で、学校では多くの女子学生から人気があった。
そんな男子に追いかけられることは、蒼井紫苑にとって喜ばしいことだった。