蒼井真緒は今、とても興奮していた。
顔には笑みを浮かべている。
彼らが泊まっているホテルはファミリースイートで、両親は別の寝室にいた。
蒼井真緒は寝室のドアの前まで歩いて行き、ノックをして「お母さん」と呼んだ。
すぐにドアが開いた。
周防蕾香は「お父さんは部屋で休んでるわ」と言った。
蒼井真緒は胸の高鳴りを抑えながら、「お父さんを早く起こして!蒼井家の人が来たわ!」と続けた。
「本当?」この言葉を聞いて、周防蕾香も非常に興奮し、目を大きく見開いた。
蒼井真緒はうなずいた。
「すぐに起こしてくるわ」と言って、周防蕾香は「誰が来たの?」と尋ねた。
「蒼井家の長男、蒼井琥翔よ」と蒼井真緒は答えた。
これを聞いて、周防蕾香はさらに興奮した。
蒼井琥翔はビジネス界で名を轟かせている人物だ。
彼が直接来たということは、きっと謝罪に来たに違いない。
周防蕾香は部屋の中へ向かって「蒼井、蒼井家が謝罪に来たわよ、早く起きて」と声をかけた。
この言葉を聞いて、蒼井龍はすぐにベッドから起き上がり、「本当か?」と聞いた。
蒼井家からいつか誰かが来ることは分かっていたが、蒼井龍はこんなに早く来るとは思っていなかった。
やはり真緒は凄い。
周防蕾香はうなずいて「もちろん本当よ」と答えた。
「蒼井家の誰が来たんだ?」蒼井龍は起き上がりながら尋ねた。
「蒼井琥翔よ」
これを聞いて、蒼井龍は少し不機嫌になった。
来たのが蒼井家当主の蒼井修誠ではないとは。
自分を軽く見ているのか?
自分は華和の養父で、世代的には蒼井琥翔の父親に当たるというのに、蒼井家は若い世代を寄越すだけか。
明らかに自分たちを眼中に入れていないということだ。
こんな態度で華和を許してもらおうというのか?
夢でも見ているのか!
蒼井龍がのんびりとした様子を見て、周防蕾香は「早く、蒼井琥翔が外で待ってるわよ」と急かした。
蒼井家は大きな獲物だ、焦らせてはいけない。
「何を急ぐことがある!」蒼井龍は怒鳴った。「今は向こうが頼みに来てるんだ、こっちが頼んでるんじゃない!待たせておけ!」
周防蕾香はこの言葉を聞いて、蒼井龍の言う通りだと思い、笑いながら「それなら簡単よ、蒼井琥翔に言って、蒼井修誠を呼べばいいわ」と言った。
今や蒼井家は、彼らの言うことなら何でも聞くはずだ。