探偵の料金は高額だった。
前金が三万円。
成功報酬として十万円。
前金を支払った後、西園寺雅乃はサブカードの明細を調べてみた。
調べなければ分からなかったことだ。
調べた後、西園寺雅乃は怒りで体が震えた。
一万円から十万円の小額取引が数え切れないほどあった。
その中には大きな額の振り込みもあった。
調べてみて初めて分かった。
六年前、真壁駿介は愛人に100万円のBMWを買った。
五年前、真壁駿介は6000万円で愛人に豪邸を買った。
最近では、300万円の大きな支出があった。
これは花山市で買った家だ。
西園寺雅乃はすぐに花の山の家について調べさせた。
すぐに返事が来た。
花の山の家には四人家族が住んでいた。
両親と息子、息子の嫁だ。
老夫婦には帝都に住んでいる娘がいた。
調査員は電話で言った。「家主の話では、この家は娘さんが買ったそうです。その娘さんはかなり有能で、帝都で金持ちと付き合っているとか。」
愛人として!
確かに有能だ。
西園寺雅乃は目を細めて、続けて尋ねた。「その娘の名前は?」
「確か朝日奈涼香というそうです。人偏の徐に、氷の字です。」
「分かりました。」
手がかりを得た西園寺雅乃は、すぐに朝日奈涼香について調べ始めた。
朝日奈涼香は地方都市出身で、上流階級になることを夢見て、八年前に真壁駿介と知り合った。
七年前、二人の娘が生まれた。
ここまで読んで、西園寺雅乃は思わず笑い出した。
なんと、八年前から関係を持っていて、今では子供まで二人いるというわけだ。
真壁駿介が西園寺雅乃と寝た直後に、愛人と甘い時間を過ごしていたと思うと、西園寺雅乃は胸が悪くなり、すぐにトイレに駆け込んで吐き気を催した。
吐いた後、西園寺雅乃は深く息を吸い、洗面台で冷水で顔を洗った。
今の彼女は倒れるわけにはいかない。
耐えなければならない。
クズ男と不倫女に相応しい報いを与えるために。
西園寺雅乃はオフィスに戻り、数日分溜まった仕事の処理を始めた。
この数日間、母親としての義務と責任を果たすため、会社の仕事はほとんど手つかずで、育児に専念していた。
彼女は家にいる私生児を自分の命より大切にしていた。
仕事を終えたのは深夜だった。
西園寺雅乃は窓際に暫く立ち、それから車で帰宅した。