しかし、五元のものは三元のものほど美味しくないのは明らかだった。
如月廷真も一口飲んでから続けて言った。「店主の話によると、彼女は学校の近くで10年間ミルクティーを売っていて、その間一度も値上げしていないそうです。」
蒼井華和は感心して言った。「こんなに一貫して良心的な店主さんは珍しいわね。これからもっと彼女のお店を利用しましょう。」
なぜか、如月廷真の気分は急に良くなった。
「私たち」という言葉が、まさに彼の心の琴線に触れた。
突然、幸せに包まれた気持ちになった。
「うん。」如月廷真は薄い唇を少し上げ、横にいる少女を見下ろした。
彼の視点から。
まず目に入ったのは絹のような黒髪、透き通るような耳たぶ、そして美しい弧を描く鎖骨……
彼女の鎖骨は美しく、肌も白いため、その上に艶やかな梅の花を咲かせたくなるような衝動に駆られた。
さらに下へ。
非礼を見てはいけない。
如月廷真はすぐに視線を外し、心の中で君子には為すべきことと為すべからざることがあると何度も唱えた。
ミルクティーを一杯飲み終わると、蒼井華和は時計を見て、「私そろそろ行かなきゃ。あなたも早く戻った方がいいわ。」
「ああ。」
如月廷真は軽く頷いた。
残念ながら、今の彼の立場では蒼井家の両親の前に姿を現すのは適切ではない。そうでなければ、必ず蒼井華和を送って行くところだった。
蒼井華和が両親の元に着くのを見届けてから、如月廷真は立ち去った。
試験終了まであと数分。
次々と生徒たちが早めに答案を提出して出てきた。
「神原兄、見て!あの青い制服を着ているのが首席の蒼井真緒よ!」
その声を聞いて、神原慶人はすぐに気を引き締め、カメラマンを呼んで蒼井真緒の方へ駆け寄った。「こんにちは、河内テレビ局の記者です。今日の受験生ですか?」
「はい。」蒼井真緒は頷き、絶妙な角度で微笑んだ。
これは彼女にとって初めてのカメラ撮影ではなく、緊張するどころか、むしろカメラ慣れしていた。
神原慶人は続けて尋ねた。「お名前と学校を教えていただけますか?」
蒼井真緒はカメラを見つめ、このインタビューのチャンスを掴んで、「私は蒼井真緒です。平安時代の蒼、珍宝の宝、鳳凰来儀の儀です。インターナショナルスクールに通っています。」
とても教養のある自己紹介だった。