取り調べを担当する警官が続けて尋ねた。「では、榊原満山は?」
榊原満山の話題になると、若松姉はため息をついた。「家族の中で榊原満山だけがろくでなしです。彼は酒を飲むのが好きで、酔うと必ず人を殴り、詩々母を散々に打ちのめすんです!私たちは詩々母に離婚を勧めましたが、詩々母はいつも怖くてできないと言うばかりでした。」
この言葉を聞いて、女性警官は高城ママの顔の傷痕を思い出した。
もしかして。
彼女の顔の傷は、榊原満山のDVによるものなのか?
女性警官は更に尋ねた。「なぜ離婚するのが怖かったのですか?」
若松姉は答えた。「榊原満山が脅したからです。もし離婚しようとしたら、詩々母の家族全員を殺すと。」
それを聞いて、調書を取っていた警官は眉をしかめた。
想像もできない。
世の中にこんな父親がいるなんて!
警官は続けて尋ねた。「榊原満山は子供も殴っていたのですか?」
「はい、殴っていました」若松姉は頷いた。「彼が暴れ出すと、誰でも殴るんです!」
女性警官は眉をしかめ、「榊原満山が酔って人を殴る件について、村の人で実際に目撃した人はいますか?」
若松姉は言った。「私は彼が詩々母を殴るのを見たことがあります。恐ろしかったです!でも詩々を殴るところは見たことありません。ただ、詩々母と詩々の体にはよく傷があったんです。」
そのとき。
一人の警官が外から慌てて走ってきて、女性警官の耳元で何かを告げた。
それを聞いて、女性警官の表情が変わり、隣の警官に向かって言った。「山田、ここを任せるわ。」
「はい、分かりました。」
女性警官は外に出て、「伊藤、一体どうしたの?」
伊藤警官は言った。「玲姉、こういうことです。ゴミ置き場付近の監視カメラを調べたところ、榊原満山が十時一分にキャリーバッグを引いてゴミ置き場に現れたのが確認されました。」
玲姉は眉をしかめ、伊藤警官について事務所に向かった。
伊藤警官は監視カメラの映像を玲姉に見せた。
玲姉は映像を見た後、「すぐに榊原満山を警察署に連れてきて!」
「まだ榊原満山と連絡が取れていません。」
「賭場には行ったの?」
伊藤警官は頷いた。「既に人を派遣しています。」
玲姉は続けて言った。「それと、昨夜最後に榊原詩々を見た人を整理して。」
「はい、玲姉。」