「周防燕子!」取調室のテーブルで警察官がテーブルを叩いた。「我々の仕事に協力してください。自白すれば寛大に、抵抗すれば厳しく処分します!」
周防燕子は呆れて、警察官を見つめ、両足をテーブルの上に投げ出した。「私が協力していないって?言うべきことは全部言ったじゃない。でもあなたたちは信じてくれない。私にどうしろっていうの?私が人を殺したって言えばいいの?」
彼女は人を殺していない。だから怖くなんてない!
このような人物を前に、取り調べを担当する警察官も途方に暮れ、続けて尋ねた。「昨日の夜7時から10時までの間、どこにいたか話してください。」
「私は...」ここまで言って、周防燕子は放埓な笑みを浮かべ、若い警察官の早乙女隼人を見つめた。「お客様とベッドを共にしていました。どんな風に過ごしたのか、もっと具体的に聞きたいですか?」
さすがはその道のプロ、周防燕子はこんな挑発的な言葉を口にしても、顔色一つ変えなかった。
そう言って、周防燕子は若い警察官に媚びるような目配せをした。
「聞きたければ、後で二人きりになったときにこっそり話してあげてもいいわよ。」
早乙女隼人はテーブルを叩いた。「周防燕子!真面目にしてください!」
周防燕子は冷ややかに鼻を鳴らした。「私が真面目じゃないって?あなたたちが聞くから答えただけなのに、今度は真面目じゃないって文句を言う。一体どうしろっていうの?いっそのこと模範解答でも用意してくれれば、それに従って答えますよ。」
そのとき、玲姉が脇で指で軽くドアをノックした。
早乙女隼人は立ち上がった。「玲姉。」
玲姉は頷いた。「どうだ?」
早乙女隼人の表情は良くなかった。「全く協力的ではありません!」
これを聞いた周防燕子は即座に冤罪を訴えた。「警察官の皆さん、言うべきことは全部言いましたよ。確かに私の職業は特殊かもしれませんが、差別するのはよくないでしょう!」
玲姉は周防燕子の前に歩み寄った。「私の知る限り、榊原満山はあなたが最近結婚したばかりの夫ですね。」
「そうですけど」周防燕子は玲姉を見た。「それがどうかしましたか?」
玲姉は眉をひそめた。「新婚の夫が殺害されたというのに、妻であるあなたはどうして少しも悲しまないのですか?」