蒼井紫苑は警察がこれらの物を見つけるとは思ってもみなかった。今、彼女は心の中で動揺し、袖の中に隠した指も思わず強く握りしめていた。
力を入れすぎて、指の関節が少し白くなっていた。
いけない。
今は緊張してはいけない。
認めてはいけない。
そして、警察に隙を見せてはいけない。
蒼井紫苑は何も知らないふりをして、篠原朱音の方を見上げた。「私の物ではありません。」
それを聞いて、篠原朱音は眉をしかめた。
私のものでもなく、蒼井紫苑のものでもない。これは誰の物なのだろう?
「本当に不思議ですね。誰が私の家のリビングの床下に物を隠すなんて?」
玲姉は服と帽子を別の袋に入れながら、「もちろん殺人犯です。」
その言葉は篠原朱音に向けられたものだったが、玲姉の視線は蒼井紫苑に向けられていた。