蒼井遥真は肩をすくめた。「わかったよ」
蒼井琥翔は続けた。「葉山雄大のことをどれくらい知っているんだ?」
「うん」蒼井遥真はうなずいた。「彼女の家庭環境はシンプルだよ。両親はインテリだ」
「わかっていればいい」蒼井琥翔はそれ以上何も言わなかった。
兄として、弟のプライベートな感情問題に深く関わるのは、やはり良くないことだ。
すぐに。
夕食の時間になった。
葉山雄大は蒼井華和が面と向かって彼女を困らせるだろうと思っていた。
しかし予想外にも。
食卓は平穏だった。
彼女はやはり蒼井家の人々の教養を過小評価していたのだ。
たとえ蒼井家の人々が葉山雄大の人柄を知っていたとしても、蒼井智輝の面子を考えて、面と向かって彼女を困らせることはなかった。
しかし、蒼井家の人々は彼女を困らせなかったものの、葉山雄大は春日吉珠の態度が明らかに冷たくなったことを感じていた。