暗がりに隠れて男を守っていた暗衛は、この光景を見て、完全に呆然としてしまった。
こ、これは本当に彼らが知っている冷酷無比な静園さんなのだろうか?
一人が手を伸ばして目をこすった。
しかし、どれだけ目をこすっても、目の前の光景は何も変わらなかった。
あの短気で怒りっぽい静園さんが、少女の前では、ただの従順な大きな犬になっていた。
自分の目で見ていなければ。
誰が信じるだろうか?
身をかがめる如月廷真を見て、蒼井華和は数歩前に進み、手を伸ばして彼のシャツの一番上のボタンを留めてあげた。
指先は少し冷たかった。
如月廷真の熱い首筋の肌と鮮明な対比を成していた。
如月廷真は頭が真っ白になったように感じた。
呼吸が止まった。
少女特有の淡い香りが全身の隅々まで染み渡っていく。