白川さんは横目で蒼井華和を見た。
香りの源を確認した。
蒼井華和は自分にミルクティーを注ぎ、横目で白川さんを見て、「おじさま、ここのミルクティーを試してみませんか?」
周防紫月の友人だったので、みんな紫月に倣って白川さんを「おじさま」と呼んでいた。
「いいよ」白川さんは頷いた。
蒼井華和はさっと白川さんにもミルクティーを注いだ。
「ありがとう」白川さんは手を伸ばしてカップを受け取った。
しかし、カップを受け取る際、指先が不意に蒼井華和の手の甲に触れた。
ほんの一瞬だけ。
しかし雷に打たれたような感覚だった。
しびれるような感覚。
心臓もその瞬間に早鐘を打った。
白川さんはすぐにミルクティーを両手で持ち、一口飲んで、目に宿った動揺を隠した。
一口のミルクティーが腹に落ち、奇妙な感覚はいくらか和らいだ。