「大丈夫よ」
ベティはローナの後に続いて、寮の中へ入っていった。
入るなり、ベティは口と鼻を押さえた。
寮の中はどこもかしこも埃だらけだった。
ひどく汚れていた。
ベティは少し眉をひそめた。「あなたたちの寮はどうしてこんなに汚いの?」
ローナは言った。「どの寮も同じよ。あなたたちの寮は汚くないの?」
ベティは一瞬固まった。
突然メイラの言葉を思い出した。
どうやら、蒼井華和は嘘をついていなかったようだ。
もし蒼井華和の三人の兄がいなければ、彼女たちの寮は今のように清潔ではなかっただろう。
ベティの顔には何とも言えない表情が浮かんだ。
寮に戻ると、ベティはバッグから故郷の特産品を取り出し、蒼井華和に分けようと思った。結局のところ、蒼井華和がいなければ、彼女は今頃ローナと同じように寮の掃除に追われていたはずだ。