夏川清美は結城邸に戻ると、木村久美はちょうど目を覚ましたところだった。
服を着替え、何度も手を消毒してから、夏川清美は木村久美を抱きしめた。
「早く授乳してあげて」藤堂さんが催促した。赤ちゃんは彼女の母乳をあまり飲まなかった。
夏川清美は頷き、藤堂さんに部屋の入り口を見張ってもらい、赤ちゃんに母乳を与えた。
赤ちゃんはお腹いっぱい飲んで、十時過ぎまで遊んでから再び眠りについた。夏川清美は赤ちゃんの愛らしい寝顔を見つめ、深いため息をつき、緊張していた心が少し和らいだ。
しかし、今日の午後の出来事を思い出すと、彼女の表情は再び厳しくなった。
槙島秀夫はこのまま引き下がるはずがない。
なぜ彼が林夏美の記憶の中の人物と全く異なるのかはわからないが、自分が見た槙島秀夫こそが本当の姿だということは確かだった。