第120章 お金の話をしましょう

健二はしばらく待ってからエレベーターに乗り、出てきたところで金髪の少年が目を輝かせて彼を見つめているのに気づき、その横にいる背の高い痩せた男は眉をひそめていた。

夏川清美はストレッチャーに寄りかかって悠然としており、彼が出てきた瞬間、ウインクを送った。

金髪は親分ではないと分かり、少し失望して舌打ちし、大柄な男は警戒して健二を見つめていた。

健二はストレッチャーを押しながら、進むべきか退くべきか迷い、最後に友好的に尋ねた。「遺体を運びに来たんですか?そうですね、ここから地下2階に行けますよ。」

そう言ってストレッチャーを押しながら道を譲り、前に進み続け、ついでに夏川清美を引っ張って、「早く行こう、車がもうすぐ来るから。」

夏川清美は頷いて付いていった。

「待て!」しかし二人が数歩も進まないうちに、高橋さんは反応し、長い脚で健二を蹴りつけた。

健二は体力をかなり回復しており、その足を避けたが、内心驚いた。まさか相手が武術の達人とは。長年の訓練で身についた筋肉の反応がなければ、今のを避けられなかっただろう。

一歩後退し、健二は表情を引き締めた。

夏川清美は霊安室に追い込まれた時から、この集団の中で最も手強いのがこの高橋さんだと気づいていた。先ほど彼女に手を出してきたことで、その推測は確信に変わった。

今、彼が健二と戦っているのを見て、完全に劣勢というわけではないことに気づき、黒く輝く桃花眼を伏せながら、銀針を取り出し、二人の様子を注視した。

金髪は二人がなぜ突然戦い始めたのか理解できず、疑問の眼差しで夏川清美を見た。

夏川清美は金髪を横目で見て、「200万円あげるから、彼を引き止めて。」

「あー...それは無理だよ。高橋さんは俺の兄弟だし、金のために裏切るなんてできない。」金髪は義理堅く首を上げた。

夏川清美は「...」この時代にまだ義理を重んじる人がいるとは思わなかった。

しかし夏川清美には彼とおしゃべりしている時間はなく、ストレッチャーの上で弱々しく呼吸をする二人を見やり、銀針を金髪に向けて突き出そうとした...

ピンポーン!

夏川清美が動こうとした瞬間、ピンポーンとエレベーターのドアが再び開いた。