第135章 藤堂さんが育児室へ連れて行った

夏の暗い夕暮れ、夏川清美は六時半に空港に着き、ちょうど夕陽の残光が降り注ぎ、星空空港全体を金色に染め上げていた。

清美が初めて結城陽祐に出会ったあの夕暮れそのものだった。

目も眩むほど美しかった。

しかし、そんな金色の光に包まれていても、清美の心は少しも和らぐことはなかった。

頭の中は木村久美のことでいっぱいだった。

もし藤堂さんが鈴木濱の手下だとしたら、清美は彼女が久美にどんなことをするか想像もつかなかった。

緊張のあまり、清美の腹部の傷跡が疼き始め、まるでこの子のために前の持ち主が何を犠牲にしたのかを思い出させるかのようだった。

額には緊張で薄い冷や汗が浮かんでいた。

沢田浩司は表立って動けないため車から降りなかったが、林夏美が崩壊寸前の様子を見て、心の中の疑問が膨らんでいった。