第225章 槙島家の親切

林富岡は少し心配そうに尋ねた。「何かあったのか?」

鈴木末子は探るような目を引っ込め、心配そうに聞いた。「あなた、佐藤清美に何か困らされたの?」

「彼女は自分じゃないと言っている」

「でも……」

「もういい、病院のことは何とかする。今は正陽様の婚約者なんだから、あの子に関わるのは控えなさい」林富岡は鈴木末子を叱責はしなかったが、鈴木末子にとってはその言葉は十分重みがあった。

鈴木末子は不満を抑えながら、「分かりました。槙島家が訪ねてきました」

「槙島家?」林富岡は眉をひそめた。

「はい」鈴木末子は軽く返事をしたが、表情には出さないものの、気分は最悪だった。今回の結城家の婚約パーティーで、彼女たち母娘以外にも面目を失った者がいたが、最大の敗者は槙島家だった。

槙島秀夫は夏川清美との婚約どころか、槙島お父さんに引きずられて結城家の正陽様の前で土下座して謝罪し、一夜にして信州市最大の笑い者となった。