第248章 結城陽祐の憐れみ

「まだ答えてないの?」結城陽祐は夏川清美の反応に不満そうだった。

夏川清美は言いにくそうに結城陽祐を一瞥して、「うん、かっこいいわ」と答えた。

明らかに適当な返事だった。

結城陽祐は「……」

まさに不機嫌になろうとした時、突然携帯が鳴り出した。細長い目で夏川清美を一瞥してから、通話ボタンを押して「話せ」と言った。

声は冷たく硬かった。

野村黒澤は身震いして、慎重な口調で言った。「結城峰の人が林家と接触したようです。何か掴んだかもしれません。二少、先に林さんと接触されますか?」

「ふん」婚約式で林夏美を追い出した時点で、事態が露見する可能性は予測していた。二房の者が林家に探りを入れるのは意外ではなかった。

ただ今まで林富岡があの株式を動かしていないのが気になっていた。相手は何を考えているのだろうか。