第265章 槙島秀夫、私を弄んでいるの?

この不満は林夏美の全身を非常にイライラさせ、食事の時でさえ、家の使用人たちが自分のことを噂しているように感じた。

しかし、林富岡がいるため、怒りを爆発させることはできなかった。

だが、林富岡が一旦仕事に出かけると、彼女は抑えきれない怒りを爆発させ、使用人たちを殴ったり罵ったりし、林邸全体が不満の声で満ちていた。

特に山田真由は。

他の使用人たちは林夏美を避けることができたが、林夏美の足が不自由になってから、会社の清掃部から呼び戻されるために多大な努力を払い、今では林夏美の衣食住の世話を専門に任されていた。

時々、林夏美は理由もなく激怒し、予期せぬ物を投げつけてきた。

この数日間、山田真由は体中あちこち青あざだらけになっていたが、怒りを表すことすらできなかった。

林邸全体が重苦しい雰囲気に包まれていた。

そして林夏美のこの怒りは、槙島秀夫が彼女を足の治療のために病院に連れて行った後、完全に爆発した。

槙島家は自信満々に彼女の足を治せると言っていたが、我慢して現地に着いてみると、いわゆる病院は100平方メートルもない、病院とも呼べない漢方医院だった。

「ふん」林夏美は冷笑した。「槙島秀夫、私をからかっているの?」

もう秀夫兄さんとも呼ばなくなっていた。

彼女は、この男が記者の前で、自分を守るために布団を引っ張り合った時の、嫌悪感と吐き気を催すような表情を覚えていた。

足のためでなければ、絶対に外出などしなかった。

しかし、槙島秀夫がこんなことまで嘘をつくとは思わなかった。

「夏美、君は結城家の怒りを買ったんだ。今どの病院も君を受け入れようとしない。私は調べたんだ。この漢方医は数十年の経験があり、医術が素晴らしく、特に鍼灸が得意だ。君の足は西洋医学では治せないかもしれないが、漢方医学なら治るかもしれない」このホテルでの誤った逮捕事件は、槙島秀夫にも少なからぬ影響を与えていた。

特に林夏美と布団を引っ張り合うシーンは、ネット上で嘲笑の的となっていた。

以前の槙島秀夫がクズ男だったとすれば、今ではクズ男とも呼べないほどだった。

結局、今のクズ男の基準は、金持ちでイケメンで優しくて思いやりがあり、クズなところ以外は完璧というものだった。

しかし槙島秀夫はどうだ?クズ男どころか、完全なゴミだった。