第281章 生きてこそ運命を掴める

夏川清美は結城陽祐の態度が理解できないと感じていた。

頭を掻きながら、彼女はいつも理解できないことは考えないようにしていた。特に男心は海底の針のように分かりにくく、ましてやイケメンならなおさらだ。考えても無駄だった。

しかし、夏川清美は林富岡が今回思い通りにならなかったことを知っていた。きっと諦めないだろう。でも、本当に富康製薬の52パーセントの株を彼女に渡すつもりなのだろうか?

夏川清美は肩をすくめた。これは株式の問題ではなく、林富岡の命がかかっているのだ。

彼女は前の持ち主の記憶から、林富岡が持っている株式はたった52パーセントで、残りの48パーセントは鈴木の母娘が分け合っていること、そしてその48パーセントは実は前の持ち主の母親のものだったことを知った。

そしてこの株式は本来、前の持ち主の母親が前の持ち主に残したものだった。しかし、鈴木の母娘が林家に来てからは、少しずつ彼女たちに蚕食され、今では二人の株式を合わせると林富岡とほとんど変わらないほどになっていた。