第297章 復讐は自分でしてこそ気持ちいい

「陽祐さま、清美さんのために彼らを始末してしまいましょうか?」健二は、二少が再び沈黙に陥るのを見て、思わず提案した。

結城陽祐は彼を横目で見て、「始末?それじゃあ甘すぎる」

「では彼女たちを……」

「まずは彼女に任せよう。復讐は自分でやってこそ気が晴れるものだ」結城陽祐は言い終わると立ち上がった。

健二は慌てて尋ねた。「どちらへ?」

「包帯を替えに」結城陽祐はそう言い残して歩き続けた。

健二は急いで言った。「すぐに秋山先生をお呼びします」

結城陽祐は健二に冷ややかな視線を投げかけ、乳児室の方向へ歩いて行った。

健二は頭を掻きながら、包帯を替えるんじゃなかったのか?なぜ清美さんのところへ?と思った。

結城陽祐が到着した時、夏川清美は夕食を終えて戻ったところで、木村久美をあやしていた。陽祐を見て不思議そうに「夕食を食べていないの?」と聞いた。

「食欲がない」結城陽祐は清美を見つめ、あの悲惨な過去の痕跡を探そうとしたが、何も見つからなかった。

その明るく白い顔には、清らかさがあり、むしろ一般人にはない明るい自信さえ感じられた。

「今は回復期なのよ。食事が不規則なのは一番よくないわ」清美は医師の立場から注意した。

「ああ」結城陽祐は気のない返事をし、自分の胸を指さして「傷が少し開いたみたいだ。時間があれば処置してくれないか?」

清美はそれを聞いて表情を変え、「どうしたの?最近は回復が順調だったはずなのに、なぜ開いてしまったの!」

そう言いながら清美は前に進み、自然に結城陽祐のボタンを外し始めた。ちょうどその時、藤堂さんが食事から戻ってきて、この場面を目撃した。前回二人が部屋で扉を閉めた後の老爺の命令を思い出し、入るべきか退くべきか困惑した。

結城陽祐は視線を感じて振り返り、困った表情の藤堂さんを見て眉をひそめた。

清美も気付いて説明しようとしたが、藤堂さんは大股で近づいてきて、「あの…木村久美を老爺のところへ連れて行って遊ばせてきます。お二人はどうぞ続けてください!」

言葉を発しようとしていた清美は「……」

また何か誤解されたのだろうか?

しかし結城陽祐は全く影響を受けていない様子で、困惑した表情の清美を見て「見ないのか?」