感動で涙を流す林富岡を見て、鈴木末子は女らしく彼の胸に寄り添った。「あなた、私を責めないでくれてありがとう、本当にありがとう!」
林富岡は心が完全に溶けてしまい、最近発見したある事を思い出しながら、鈴木末子の背中を優しく叩いた。「安心して、このお金は何とかするから。あの不届き者の娘に好き勝手させないよ」
「あなた、私にそんなに優しくして...」
林明里は doorway に立ち、母親が林富岡を完全にコントロールしている様子を見て、ここ数日暗かった表情が少し明るくなった。この老いぼれが2000万円を出すと言うなんて、きっと母娘に隠していることがあるに違いない。
そう考えると、林明里は結城財閥の5%の株式を手に入れることを一層確信した。
階段を下りながら、林明里は信州市で一番高級な美容室へと向かった。
今夜のチャリティーパーティーには著名人が集まると聞いている。母親が招待状を手に入れられるか心配していたが、先日瑞穂エンタメの曽根新を断った後、彼が再び彼女を誘ってきた。
しかも今日のチャリティーパーティーに誘われたのだ。曽根新が行くということは、きっと結城家の和也様に取り入るためだろう。
そう考えると、林明里の顔には自信に満ちた表情が浮かんだ。今日のチャリティーパーティーで輝かしい存在感を示し、結城財閥の株式を持っていることを公表すれば、信州市で誰が彼女を馬鹿にできるだろうか?
林夏美なんて、ただのデブ女、どうして彼女と争えるというの?
絶対的な利益の前で、二少が太った女を選ぶはずがない!
林明里は多くのビジネスマンの本質を見てきたと自負していた。結城陽祐だって所詮はビジネスマンに過ぎない。面目を失うような太った女のために、手に入る利益を手放すはずがない。
そう考えると、林明里の笑顔はますます大きくなった。しかし、まだ少し不自由な左足に目が留まると、歯を食いしばって、以前禁止薬物を提供してくれた医者に電話をかけた。
今夜のチャリティーパーティーでは、必ず最高の姿で現れてみせる。そうすれば結城陽祐に何を失ったのか分からせてやる!
夜の帳が下り、街は華やかな灯りで輝いていた。