愚痴をこぼし終わると、夏川清美は林夏美がここまで来られたことに驚いた。まさにゴキブリのように生命力の強い女だ。
林夏美が次にどんな手を打ってくるのか気になるところだが、どんな手を使おうと最後まで付き合ってやる。
あの富康の株式なんて、ほんの始まりに過ぎない。
母娘は栄華を望んでいるのか?なら、少しずつ失っていく感覚を味わわせてやろう。
直接刑務所に送るよりも、彼女たちが最も欲しがるもので懲らしめる方が好きだ。
「大丈夫?」結城陽祐は夏川清美の感情の変化を感じ取り、突然彼女の手を握りながら優しく尋ねた。
夏川清美は一瞬固まり、男性の暖かく乾いた大きな手が自分のぽっちゃりした手を握っているのを見て、少し呆然とした。
先ほど入ってきた時に手を引かれたのは演技だと思っていたが、今の彼の清らかな声には明らかに気遣いが込められていて、夏川清美は一瞬途方に暮れた。この男は本当にぽっちゃり系が好みなのだろうか?
おとといの彼が突然ダイエットを止めさせようとした件も忘れていない。
夏川清美の目の中の戸惑いを見て、結城陽祐は思わず心が痛んだ。この馬鹿は今まで誰にも大切にされたことがないのか?だから他人の気遣いさえ違和感を覚えるのか。さらに心が痛み、その柔らかい小さな手を握りしめた。「あの女が気に入らないなら、追い出させるよ。」
夏川清美は「……大丈夫です。」と答えた。
追い出されたら、どうやって彼女の芝居を見られるというの?
でも、この男は一体どうしたの?最近ますます変だわ!
夏川清美は前世でお爺さんと二人で暮らしていたが、結城お爺さんとは違って老人は非常に厳格で、そうでなければ彼女が十六歳で漢方医学を諦めて外科に転向した時に、怒りのあまり絶縁しようとはしなかっただろう。
しかし彼女は心の中でお爺さんが常に自分のことを気にかけていることを知っていた。ただ、その時のお爺さんは頑固で、彼女も若気の至りで、怒りのままイェールに行き、その後自分が間違っていないことを証明するために必死に勉強し、その後帰国して信州市に長く住み、最後にお爺さんに会ったのは彼女が過労死する半年前、京都でお爺さんの七十歳の誕生日を祝った時だった。