車を降りて、夏川清美は医学部の門の前に立ち、少し戸惑いを感じていた。
前世で学生だった時から六年が経ち、今の気持ちは全く違っていた。
あの時は足を失い、一人で飛行機に乗り、表面的には輝かしく見えたが、実際は途方に暮れていた。
今は普通の人々の中に溶け込んでいるが、心は穏やかで落ち着いている。
今日は入学手続きの最終日で、早めに到着したものの、学校はすでに大変賑わっていた。
四人は、ごく普通の家族のように見え、学校内を目立たずに歩いていた。健二は力持ちで二つのスーツケースを運んでいた。
まず女子寮に向かい、健二と結城叔父さんは男性のため寮には入れず、荷物を置いてから他の入学手続きを済ませに行った。
夏川清美と雲さんが入ると、他の三つのベッドはすでに埋まっており、入口近くのベッドしか空いていなかった。雲さんは心配そうに「清美、どうしましょう。ドアを開けると風が入ってきて、風邪を引いたらどうしよう」と言った。