医科大学。
夏川清美は寮から教室棟まで歩いていく途中、何となく視線を感じていた。エレベーターに乗ると、その感覚はより一層強くなった。
同じ人に3回も見られた後、我慢できずに尋ねた。「私の顔に何かついてますか?」
「ふふ、林くんですか?触らせてもらえませんか?」色白で短髪の男子は、とても真面目そうな様子で、典型的な書生タイプだった。
夏川清美は「……」
こんなに真面目そうなのに、なぜこんなに大胆な行動をするのか、そのギャップに戸惑いを感じた。
男子は赤面して、「誤解しないでください。変な意味じゃないんです。昨日あなたの近くに座っていて、とても福がある人だと思いました。來福さんがあなたの相は大富大貴で、人型の縁起物だと言っていたので……」
ここまで言って、男子は顔を赤らめた。