夏川清美は教室に駆け込んで、ちょうど授業が始まるところだった。
岡田千明は急いで教科書を彼女に渡した。
今日は彼らの今学期最初の解剖学の授業だった。
つまり、加藤迅の授業だ。
夏川清美が到着したばかりのところに、加藤迅が入ってきた。白衣は着ていなかったが、目の前の人物からは清楚な儒雅な雰囲気が漂っていた。さらに際立つ容姿も相まって、多くの女子学生は一目見ただけで魅了されてしまった。
しかし、これらの夢見心地の女子たちは、加藤迅が微笑みながらウサギの解剖を実演するのを目の当たりにすると、一人また一人と顔色が青ざめ、唇が紫色になっていった。
中には既に吐き始める者もいた。
実演を終えた加藤迅は目を上げて教室全体を見渡し、「これから5人一組になって、実験動物を選び、解剖を行い、データを記録してください。皆さんの実験は全て期末成績に反映されます。この専門を選んだ以上、その血なまぐささと慈悲を受け入れなければなりません。もちろん、受け入れられない人は今すぐ退出してもかまいません。医学は他の専門とは違い、生死と希望に関わることです。慎重に考えてください」と言った。