夕食時、結城陽祐はまだ帰っていなかった。
夏川清美は木村久美と八時まで遊び、寝かしつけてから、赤ちゃん部屋を出て健二にメッセージを送った。結城陽祐はどこにいるの?
しばらく待っても返信はなかった。
退屈した夏川清美はジムで一時間を過ごし、出てきた時にはもう九時過ぎだった。シャワーを浴び、慎重に選んだ服を着て、さりげなく結城陽祐の書斎に行ったが、誰もいなかった。
さらに無関心を装って結城陽祐の部屋に行ったが、そこにも人はいなかった。
まだ帰ってきていないの?
夏川清美は携帯を取り出したが、健二からはまだ返信がなかった。
これは異常だった。
前回この男がこんなに遅く帰らなかったのは、京都最大のナイトクラブ四月天堂に行って、きれいな女の子と一緒にいた時だった。
考えれば考えるほど、夏川清美は落ち着かなくなった。
また四月天堂に飲みに行ったのだろうか?
不安になった夏川清美は思い切って健二に電話をかけた。
しかし電話は数回鳴った後切られ、夏川清美は不思議に思って「?」とメッセージを送った。
今度は健二から返信があった。「若奥様、運転中です。」
夏川清美はそれを見て、少し気分が良くなり、男が帰ってくるのだろうと推測して、歯を食いしばって結城陽祐の部屋に入った。
結城陽祐の部屋に来るのは初めてではなかったが、前回の何気ない訪問と比べて、今回の夏川清美はずっと緊張していた。自ら結城陽祐の布団に潜り込み、少し恥ずかしそうに唇を噛んで、布団で自分を覆った。
以前の夏川清美は、自分が誰かを好きになった時にこれほど無謀になれるとは思っていなかった。すべては無謀な勇気に任せていた。
今の自分と過去の自分は、まるで正反対の存在のように感じた。
一方はためらいがちで、もう一方は過去の失敗から失うことを恐れ、それゆえに特別に勇敢になっていた。
布団の中で夏川清美はいろいろと考えを巡らせ、布団を抱き寄せて男の残した香りを嗅いだ。この時の夏川清美は、自分が完全なストーカーのようだと感じた。
しかし時間は少しずつ過ぎていき、眠気が波のように夏川清美を襲う中、外からは依然として男の足音が聞こえてこなかった。
待って、待って。
夏川清美は自分がどれくらい待ったのかわからないまま、ついに体内時計との戦いに負けて眠りについた。