三十分後、ネットユーザーたちは再び正陽様の神業を目の当たりにした。
前回の婚約パーティーで夏川清美を中傷し、罵倒した人々全員に結城財閥から警告状が送られ、今回も正陽様を擁護して佐藤清美を罵倒したネットユーザーたちに、同様の警告状が届いた。
一時、ネットユーザーたちは清美への罵倒を控えたものの、林デブに「正陽様に呪いをかけたのか?」と問いかけずにはいられなかった。
午後になる前に、結城財閥の次男が呪いにかかったという話題が trending に上がった。みんなは今回も正陽様が対応すると思ったが、結城の弁護団は静かなものだった。
ついに皆は気づいた。正陽様を罵ることはできても、正陽様の婚約者を罵ることは絶対にできないと。
傍観していた野次馬たちは思わずため息をつき、さすが他人の婚約者だと感心した。詮索好きな人々は、正陽様が婚約式の生配信で語った言葉を掘り起こし、その一言一言が心温まるものだった。
しかし、その深い愛情は間違った相手に向けられてしまった。
月ヶ池邸で、結城陽祐は彼に関する噂に気を配る余裕がなかった。なぜなら、くまちゃんが目を覚ましたからだ。
いつも目が覚めるとママを探すくまちゃんは、今日も例外ではなかった。最初はまだ泣いては粉ミルクを少し飲むことができたが、時間が経つにつれてママが見つからない赤ちゃんはついに爆発し、その泣き声は陽祐さんの耳にも届いた。
男は疲れた体を引きずって育児室に向かうと、雲さんが額に汗を浮かべて慌てている様子と、くまちゃんの悲しい泣き声に影響されて一緒に泣き出してしまった石田墨の姿が目に入った。
雲さんは陽祐さんを見るなり急いで尋ねた。「正陽様、清美はいったいどこに行ったんですか?まだ戻ってこないなんて。くまちゃんは昨夜から泣いていて、このまま泣き続けたら病気になってしまいます。」
「私が試してみます。」陽祐さんは雲さんの質問に答えず、前に出てくまちゃんを受け取った。
しかし前回と同じように、彼が抱くと小さな子はさらに激しく泣き出した。
涙を止めどなく流す息子を見て、陽祐さんの目も少し赤くなった。特に陸田亮典から告げられたDNA鑑定の結果を思い出すと。
自分の判断は間違っていたのだろうか?
陽祐さんの心の中は死んだように静まり返り、すぐに首を横に振った。