第562章 また、おじいちゃんと赤ちゃんが恋しくなった?

夏川清美はここが大好きで、まるでモネの風景画のようだった。

幼い頃から、ここでの生活に憧れていた。それは国が好きだったからではなく、小さい頃に祖父の大切な箱を密かに開けたことがあり、その中には母が残した物が収集されていた。細々とした小物の中に、一枚の絵葉書があり、長い時間をかけてようやくその景色がY国にあることを知った。

そのときから、母がY国にいるという思い込みが生まれた。

彼女はそこで生まれたのかもしれない。

卒業旅行でわざわざY国を選んだが、ロンドンからエディンバラまで歩いても、場所を見つけられなかったのか、それとも都市の発展が絵葉書の風景を飲み込んでしまったのか、結局見つけることはできなかった。

そして、ある大雨の夜に突然嫌気が差した。母は自分を捨てたのに、なぜ自分は母の痕跡を探そうとするのか?