第666章 陽祐さん、言うことを聞きなさい、ママはあなたのためを思って

一時間後、結城陽祐はウォルドーフに到着した。

ホテルに入り、結城陽祐は福田美沙紀の部屋のドアをノックした。

福田美沙紀はすでに長時間待っていた。結城陽祐のためにドアを開けると、冷たく無関心な態度で自分から部屋の中へ入っていった。

結城陽祐は特に驚くことなく、母の後に続いてドアを閉め、バーカウンターに座ってお酒を注ぐ福田美沙紀を見つめながら、「母さん、話し合いましょう」と言った。

多くのことを決着つける必要があった。

「これが何かわかる?」福田美沙紀は結城陽祐の言葉を無視し、小さなリモコンを掲げて尋ねた。

一目見ただけでそれが何なのか分かった結城陽祐は、胸が少し痛むのを感じながら、冷たい目つきで「知っていても知らなくても、どうでもいいでしょう」と答えた。

「陽祐さんは本当に天才ね。蓮さんと双子なのに、あなたたち全然似てないわ。あなたは彼にそっくりで、時々抑えきれない破壊衝動を感じるわ」福田美沙紀は独り言のように呟いた。