第670章 陽祐さん、傷を見せて

「若奥様、若奥様……」健二は夏川清美が長い間返事をしないのを見て、焦って何度か呼びかけた。

「分かったわ」夏川清美は歯を食いしばって、結城陽祐を藤原悠真の部屋に連れて行こうと決めた。

カチッ。

夏川清美がどうやって階段を上るか考えていた時、隣の部屋のドアが突然開き、結城和也がバスローブ姿であくびをしながら出てきた。夏川清美を見て一瞬驚き、そして彼女の肩に寄りかかっている黒い頭を見て、「お...お義姉さん、あなた...浮気?」

夏川清美はそれを聞いて心臓が止まりそうになった。誰が浮気なんだ?と思いながら、目を輝かせて悪態をのみ込んで、「ここに住んでるの?」

「は、はい」結城和也は舌がもつれながら答え、首を傾げて夏川清美が支えている男性の顔を見ようとした。

夏川清美はそれを聞くと、とにかく「手伝って」と叫んだ。