第727章 イルカショーでの事件

「清美、行きましょう」藤堂さんは夏川清美が突然立ち止まったのを見て、振り返って急かした。

夏川清美は我に返って「うん」と返事し、木村久美を老人たちが持ってきた二人乗りのベビーカーに座らせ、すみちゃんと向かい合わせにした。

二人の子供の世話を終えると、夏川清美は先ほどの場所をもう一度見たが、あの人影はもう見えなかった。眉をひそめながら、藤堂さんとお爺さんたちに追いついた。

一行は黒い服と黒いズボンを着た8人のボディーガードがいたため、非常に目立っていたが、幸いにも施設内に入ると、彼らはそれぞれの角に散らばり、彼らが動物を観賞し、他の人々が彼らを観察するという状況は避けられた。

木村久美は1歳2ヶ月で、これが初めてのちゃんとした外出だった。最初はすみちゃんと遊んでいたが、海底トンネルに入るとすぐに目を大きく見開き、透明なガラスの中のカラフルな魚たちをじっと見つめた。