第730章 あなたは世界を守り、私はあなたを守る

結城清の答えで救急車内は一瞬にして針が落ちるほど静かになった。

夏川清美も彼とこれ以上話さず、最後の処置を終えると、車内の他の二人の救急医に向かって言った。「後ほどお二人には私の助手をお願いします。」

存在感の薄い二人の救急医は結城清が女医を蹴り出したのを目の当たりにしており、当然ためらうことなく、すぐに承諾した。

結城清の就任パーティーは大々的に行われ、永盛グループ傘下の病院の医師である彼らは当然知っていた。たとえ知らなくても、先ほど成瀬先生が結城清が救急車を呼んだと聞いて、こっそり常盤先生と交代しようとしたのを見て、彼らが結城清の身分を知らないはずがなかった。

二人の救急医の協力を得て、夏川清美はためらうことなく迅速に手術に取り掛かった。

先ほどの銀針は少女の心脈を守り、心臓の動きを促していたが、それは一時的なものに過ぎなかった。今から手術を始めるにあたり、夏川清美は銀針を抜き取ると、少女の顔色は一瞬で青白くなり、唇も再び青みを帯びた。