第733章 突然の犬餌

結城陽祐は夏川清美の慰めの動作を感じ、この一ヶ月以上も空っぽだった心が瞬時に満たされ、それまでの鬱憤が一掃され、抱きしめている人をさらに強く抱きしめた。

佐藤清美は息ができないほど締め付けられ、手を伸ばして男性の背中を軽くたたいた。

結城陽祐はようやく名残惜しそうに手を放した。

佐藤清美はさっき結城陽祐の顔に血の傷があるのを見ていたが、近くで見るとそれほど深くはないものの、彼のあまりにも美しい顔に、特に忍びないと感じた。

他のことを考える余裕もなく、佐藤清美は結城陽祐を引っ張って病院の中へ向かった。「傷の処置をしましょう。」

「大丈夫だよ。」結城陽祐は佐藤清美が自分を心配する様子が気に入っていて、口では大丈夫と言いながらも、彼女に引っ張られるままについていった。