第747章 二少の自撮り

結城陽祐はすぐに自分の考えを否定した。結城清の性格からして、感情に流されるはずがない。

彼は前回の件で佐藤清美に好感を持っているかもしれないが、清美を追いかけるほど愚かではないだろう。バラの谷に引っ越してきたのは、おそらく彼を牽制するためだ。

「若旦那、私たちはどうしましょうか?」健二が心配そうに尋ねた。

「野村越に人員を増やして、こちらの動きを常に報告させろ」結城陽祐は考えた後に命じた。今や結城清は彼が夏川清美を想っていることを知っているのだから、もう隠す必要はない。

健二は承知しましたと答え、野村越にメッセージを送った。すると若旦那がさらに一言付け加えた。「向きを変えて、遠山正のところへ行け」

結城陽祐は考えに考えた末、やはり不安だった。しかし清美のところへ戻れば、また一台のロボットに追い出されるかもしれない。だから思い切って遠山正の別荘へ行くことにした。少なくともそこは彼の縄張りだ。