結城陽祐は藤原悠真に頷き、上着を脱いで玄関にかけ、落ち着いた様子で階段を上がった。
今度は夏川清美が「……」となった。
藤原悠真も少し眉を上げ、すぐに夏川清美に尋ねた。「当初、矢崎お嬢様と婚約していたのは結城和也だと聞いたが?」
「たぶんね」昨日ニュースを見て、夏川清美はあの男に感心せざるを得なかった。彼は最初から計画していたのだ。さらに結城和也が矢崎碧里と一緒になり、子供までいることに驚いた。
「うん」皆心の中では分かっていたので、藤原悠真はそれ以上追及しなかった。
ただその後、彼は明らかに夏川清美が心ここにあらずな様子を感じ、心の中でため息をつき、立ち上がって辞去した。
夏川清美は藤原悠真がいつも忙しいことを知っていたので、引き留めず、ドアを閉めて考えた後、階段を上がった。