第751章 そんなに彼を気にしているの?

夏川清美は結城清という人に好感を持っていなかったが、人の物を受け取ると恩義を感じるものだ。抱えている絵を見て、夏川清美はもう結城清に冷たい態度を取ることができず、丁寧にお礼を言って別れを告げた。

「清美、私の車に乗って」

「夏川ちゃん、送るよ」

結城陽祐と藤原悠真は夏川清美が帰ろうとするのを見て、口を揃えて言った。

夏川清美、「……」

結城清は眉を上げ、前に出て話に加わった。「林さんがよければ、私が送ることもできますよ」

彼がそう言うと、結城陽祐と藤原悠真は揃って危険な視線を向けてきた。結城清は気にせず肩をすくめた。

夏川清美はこの男を見て気まずく笑い、「結構です。遠山さん、早く行きましょう」

そう言うと夏川清美は後ろから狼に追われるかのように、小走りで遠山正の車に向かい、ドアを開けて素早く車に飛び乗った。そして外にいる反応が追いついていない三人の男性に向かって力強く手を振った。「さようなら、さようなら!」