第770章 夏川弥生、あなたの謝罪を受け入れます

夜の色が深まり、虫の鳴き声が聞こえ始めた。

夏川弥生は福田山一との出会いから、彼への思いを忘れられず、何千何万里もの距離を越えて彼を追いかけたが、福田山一が誘惑に引き込まれ深淵に陥っていることを発見し、そして彼らがお互いに必死に苦しみもがいた。

最後に夏川弥生は初めて本当に佐藤清美に謝った。「清美、ごめんなさい。お母さんはあの時、あなたのそばにいることができなかった。彼が生きている時はずっと孤独で、死んでも孤独だと思って、どうしても彼に付き添いたかった。後でこうなってしまって、戻りたくても戻れなくなって...」

夏川弥生は自分が自殺未遂をして医者に切断を宣告された時のことを思い出した。人生のすべての絶望がその年に集中し、暗い日々の中で彼女は常に死を考え、人を愛する力など全くなかった。たとえそれが自分の子供であっても。