39- ありがとう、アーロンさん

彼は微笑みながら彼女を見つめ、そして大きな勇気を持って両手で彼女の顔を包み込んだ。「分かってる。僕は君の信頼に値しないって」彼は彼女の目を見つめながら言った。「でも、自分を追い詰めないでくれ。昨夜、あのレストランに居たのは偶然だったんだ...僕は君に十分な心の痛みを与えてしまった。もうそんなことはしない、マリッサ。自分を疲れ果てさせないで。心身ともに健康でいてほしいんだ」

その緑の瞳に魅了されていたマリッサは、何か言おうとしたが一言も発することができなかった。

目の見えないラファエルと一緒にいるのは楽だった。彼女は気付かれることなく、彼のハンサムな顔をずっと見つめることができたから。

彼女が反応しないと、ラファエルは予想外のことをした。彼は顔を彼女に近づけ、長く息を吸い込んだ。

マリッサは眉をひそめた。二人が一緒だった頃、彼がよくやっていたことだったから。彼女がイチゴの香りがすると言っていた頃。

「明日、会社に来てくれる?」彼はささやくように尋ね、彼女は従順な子供のようにうなずき、瞼を閉じた。

彼との近さに、彼女の胸は蝶が舞うような感覚になった。

「いい子だ」彼はとても近くに立っていて、彼女は彼の熱い息を顔に感じることができた。彼が自分にキスをするのではないかと思ったが、彼は一歩後ろに下がった。

「じゃあ、明日待ってるよ」マリッサがまばたきをして目を開けると、彼は部屋を出て行くところだった。

彼女はぼんやりと虚空を見つめたまま、ソフィーが肩を揺するまでそこに立ち尽くしていた。

「マー!大丈夫?」マリッサは驚いて飛び上がりそうになった。

「え...ええ、たぶん...どうして?」彼女は不正を働いているところを見つかったかのように髪を直した。

「キッチンに行きましょう。子供たちがチーズサンドイッチを欲しがってるの」

マリッサはソフィーの方を向いた。「チーズサンドイッチ?ああ、そう。はい。チーズサンドイッチを作ってあげます」

ソフィーはマリッサが正気を失ったのではないかと思った。彼女は茫然とした様子でキッチンに入っていくマリッサを見た。

「彼女どうしちゃったの?」彼女は横を向いて、そこに立っていたフリントを見た。