その言葉を聞いて、土屋遥は罵りたい衝動を抑え、冷ややかな目つきで灰原優歌を横目で見た。
この人のせいじゃなければ、毎日授業中に罰書きを書いて、昨日ついに罰書きを書き終えたなんて。
昨夜徹夜で書く必要もなかったのに。
そう考えると、土屋遥は灰原優歌のことがますます読めなくなった。
素直だと言えば、生活指導主任の前で森谷美貴の机を蹴り倒し、川瀬成俊を病院送りにした。
反抗的だと言えば、物理の先生の罰書きを真面目に丁寧に書いている……
「灰原さん、最近……なんだか綺麗になったね」
後ろからの声を聞いて、土屋遥は眉をひそめた。
佐藤知行がこんなに口が上手いとは知らなかった。
しかし。
いらいらしながら振り向いた時、女の子の横顔と目が合い、思わず見とれてしまった。
以前から、新しい隣の席の子が綺麗だということは知っていた。