第110章 こんな奴が灰原優歌!?

久保時渡は暇そうな人には見えず、こんなに頻繁に彼女と一緒に祖父母に会いに行けるとは思えなかった。

しかし。

会話が終わった後、灰原優歌はおばあさんに言った。「おばあちゃん、運転手さんがまだ待っているから、行きましょうか。」

「ええ。」

おばあさんは迎えに来た高級車を見て、柴田家は自分が想像していた以上に裕福なのではないかと感じた。

車に乗ってから。

運転手の竹内さんは笑顔で言った。「灰原さん、先ほど曽田助手から連絡がありまして、レストランまでお送りするようにとのことです。」

「竹内さん、ありがとうございます。」灰原優歌は頷いた。

竹内さんは笑みを浮かべた。「お嬢様、そんなに気を遣わないでください。」

……

学校からレストランまでは遠くなく、前回柴田裕也と行ったところとは違う店だった。

道中、灰原優歌はおばあさんが少し不安そうなのに気づき、時々話しかけて、徐々にリラックスしてもらった。

二十分後。

灰原優歌はおばあさんと一緒にレストランのフロントに着いた。

しかし、灰原優歌が尋ねる前に、横から傲慢な声が突然聞こえてきた。

「一番いい個室を用意して!」

「申し訳ございません、お嬢様。個室は全て予約済みとなっております……」

フロントの女性は職業的な笑顔を浮かべて、「お嬢様、ご予約はございますか?」

内田雪姫はこんな事態になるとは思っていなかったようで、表情が曇った。

今日は友達を個室で食事に招待すると言い触らしていたのに。

なのに今、個室が予約できないなんて??!

そして次の瞬間。

内田雪姫が口を開く前に、灰原優歌の声が彼女の思考を遮った。

「307号室はどちらでしょうか?」

フロントの女性はその部屋番号を聞いて、目に一瞬驚きの色が走り、すぐに一層敬意のこもった眼差しに変わった。

「3階の一番右側の個室でございます。お嬢様、もしお部屋が分からない場合は、ご案内させていただきますが。」

言い終わると、フロントの女性は灰原優歌を敬意と慎重な観察の眼差しで見つめ続けた。

307号室は、オーナーがほとんど客を入れさせない部屋だった。この部屋を使えるのは、ほとんどがオーナーの身分の高い友人たちだけだった。

まさか、こんなに若い女の子と、質素な身なりのおばあさんがあの特別な個室を使うのを目にする日が来るとは思わなかった。