ただ。
灰原優歌の身分を考えると、生活指導主任は我慢して、ただ嫌悪感を込めて灰原優歌を一瞥し、その後冷たい表情で立ち去った。
なるほど、こんな年齢になってから柴田家に引き取られたわけだ。きっと、柴田家もこんな人間を恥ずかしく思っているのだろう!
学校中の人が柴田裕香は白富美で、成績優秀だということを知っていた。一方、灰原優歌は川瀬成俊を怪我させた件で、あっという間に知られることとなった。
そのため永徳高校では、ほとんどの人が柴田裕香と灰原優歌は雲泥の差があると思っていた。
生活指導主任が去って間もなく、灰原優歌は帽子を取り、参考書を開いた。その中にはiPadが挟まれていた。
「灰原さん、寝るんじゃなかったの?」佐藤知行は灰原優歌が目を覚ましたのを見て、思わず尋ねた。
「眠れない」灰原優歌は答えた。