おそらく初めて大物が人を罵倒するのを聞いたのだろう。それもこんなに庶民的で、副社長も反応に困っていた。
しかし、彼は反応する必要もなかった。
なぜなら次の瞬間、金井雅守は容赦なく電話を切ったからだ。
副社長:「……」
30分後。
マーカスは仕事を終え、携帯に数十件の不在着信があるのに気付いた。
「……」このクソジジイ、頭がおかしいのか?
マーカスは心の中で悪態をつきながらも、電話を折り返した。
電話が繋がると。
彼が口を開く前に、金井雅守の怒鳴り声が聞こえた。
「マーカス、お前はもう自分を人間だと思っていないのか?自国の科学研究の芽が絶滅したとでも??わざわざ私と争う必要があるのか!?」
この言葉を聞いて、マーカスはようやく金井雅守が怒っている理由を理解した。
ああ、このクソジジイは灰原優歌を見つけたのか。