第103章 大物を知らないの?

「灰原優歌、あなたは本当に名家に認められたからって、安心して令嬢として生きていけると思ってるの?」

生活指導主任は冷ややかに笑って言った。「同じ家族なのに、あなたと柴田裕香とは雲泥の差があると思わない?」

その言葉が落ちると、灰原優歌はゆっくりと目を上げ、意味深な眼差しで彼を見つめた。

「灰原優歌はとても賢いですよ」

同じ職員室にいた越智哲彰が、思わず口を挟んだ。

「越智先生!」

生活指導主任は顔を曇らせ、越智哲彰を見つめた。「あなたがどういう心理で彼女を学級委員に選んだのか分かりませんが、灰原優歌が入学してからどれだけ問題を起こしているか!

彼女の行動を見てください。これは骨の髄まで腐っているんです!将来社会に出ても、ただの社会の落伍者になるだけです!」

すると、越智哲彰の表情も暗くなった。

「主任、あなたは自分が何を言っているか分かっているんですか?」

生活指導主任も以前から越智哲彰のことが気に入らなかったらしく、冷笑的な口調で言った。「越智先生、あなたは単なる教科担当の教師なのだから、一部の事柄には関与する必要はありませんよ」

その言葉が終わると。

越智哲彰が何か言おうとする前に、ドアの外から校長の声が聞こえてきた。

「一体何があったんだ?なぜうちの学校に救急車が来ているんだ?」

校長は報告会場から急いで状況を確認しに来ていた。

生活指導主任はこれを機に早速告げ口をした。「校長先生、高校二年七組の灰原優歌が、度々校内で暴力を振るい、今回は相手を無傷の箇所がないほど殴ったんです!」

灰原優歌の名前を聞いて、校長の表情は更に悪化した!

またしても彼女か?!

なぜ問題を起こすのは毎回彼女なんだ?これじゃ土屋遥よりも頻度が高いじゃないか!

しかし。

校長は同行してきた数名の研究所のメンバーと、内田和弘、柴田裕香を一瞥した後、深いため息をつくしかなかった。

「分かった、この件は調査して明らかにする。防犯カメラの映像を確認するよう手配する。灰原優歌は、しばらくここで待機していなさい」

校長はそう言うと、傍らにいた年配の先生に挨拶をして、職員室を後にした。

灰原優歌がこれほど不良だと分かっていれば、柴田家からの校舎寄付を断ってでも、永徳に一歩も入れさせなかったのに!