「ちっ、私は元気いっぱいだから」
森谷美貴は言い終わると、羨ましそうに続けた。「前は裕香と内田先輩が喧嘩ばかりしているのを見ていたけど、今はこんなに仲良しなのを見られて、私も嬉しいわ」
そう言って、森谷美貴は突然、同じクラスのあの人のことを思い出した。
彼女は話題を変え、冷笑しながら言った。「余計な心配をして、何とかして横取りしようとする人がいなくて良かったわ」
その言葉を聞いて。
内田和弘は目を暗くし、実は当初、柴田裕香を嫉妬させるために、わざと灰原優歌に近づいたことを明かさなかった。
確かに、灰原優歌が自分に密かな想いを寄せていたことも知っていた。
柴田裕香は周りの人々を何気なく見回して、「もういいわ、そんなこと言わないで。今日、灰原優歌も来るから」
「彼女が??」
森谷美貴は目を見開き、思わず冷笑した。「彼女に何の資格があるの?こんな場所に来られる身分なの??」
灰原優歌は彼女たちの社交界とは全く合わないわ!どの令嬢が灰原優歌のような人と付き合いたがるというの!??
「父が灰原優歌に会いに行ったの」
柴田裕香はまつ毛を震わせながら、白いドレスを纏い、人々の同情を誘うような様子で言った。
「柴田おじさんは優しすぎるのよ。だから灰原優歌にそんな好き勝手させられるのよ!」
森谷美貴はそう言うと、突然何かを思い出したように、興奮した表情で柴田裕香を見つめた。「そうそう、裕香!知ってる?今日吉田家の人が来るのよ!!」
「吉田東雄?」
柴田裕香は目を光らせ、前回吉田東雄と久保時渡が柴田家に来たのは、灰原優歌のためだったことを思い出した……
彼女は無意識に拳を握りしめた。
「そうよ!でも、吉田家のお嬢様も来るわ!吉田社長と吉田さんの仲がとても良いって聞いたわ」
森谷美貴はまだ興奮冷めやらぬ様子で、声からも喜びが伝わってきた。「あの吉田家よ!本物の超一流名家なのよ!!
吉田さんと友達になれたら、どんなに素敵かしら!」
「吉田さんはこういうパーティーにはあまり顔を出さないし、友達作りも好きじゃないかもしれないわ」
柴田裕香はそう言ったものの、心の中では森谷美貴と同じことを考えていた。
もし吉田家のお嬢様と友達になれれば、社交界での地位も上がり、柴田家のお嬢様としての立場もより確固たるものになるはず。