こんな状態で、柴田家はどこまで行くつもりなの??
宝物を家に置いておきながら、ただの石ころを抱いて綺麗だと言っている。
院長は、この一家に対して、ますます良い印象を持てなくなっていた。
冷淡な態度で言った。「あなたたちは考えたことがありますか?灰原さんは柴田家の財産なんて全く気にしていないかもしれないということを。」
灰原優歌の能力からすれば、柴田家の財産を狙うなら、柴田おじい様を傷つける必要など全くない。結局のところ、金井雅守でさえ彼女に会いたがって追いかけてきた人物なのだから。
「でも……」
柴田の母が言い終わる前に、院長に遮られた。「この件については柴田おじい様が既に同意し、書面での合意書にサインをしています。たとえ方山先生が来られても、手術はさせられません。」
その後、院長は形だけの対応を済ませると、目も合わせずに立ち去った。
この状況に、柴田の母の顔は赤くなったり青ざめたりした!
「お母さん、怒らないで。前回あんな声明を出してしまったから、みんな彼女の味方をするのは当然です。」
柴田裕香は静かに言った。
柴田の母は感情を抑えきれず、目が恐ろしいほど赤くなっていた。「あの時、灰原優歌を探しに行くことに同意するべきではなかった。」
この言葉を聞いて、柴田裕香の目の奥に暗い光が走ったが、何も言わなかった。
突然。
「柴田さん?」
柴田裕香と母が振り向くと、方山賢一が不機嫌な顔をしているのが見えた。
「まだ手配が済んでいないのですか?柴田夫人、柴田さんの面子で雲城まで来ましたが、私のスケジュールはとても忙しいのです。」
これを聞いて、柴田の母は心の中で灰原優歌への恨みを募らせながら、表面上は慌てて説明した。「方山先生、私は……」
「方山先生、申し訳ありません。母は院長と話を済ませていたのですが、家族の他のメンバーの推薦で、もう一人の医師も祖父の治療を希望しているんです。」
これを聞いて、方山賢一は呆れた様子だった。
彼は冷たい表情で嘲笑い、「この手術は、私でさえ三、四割の失敗率があります。
他の医師?はっ、どんな人物がそんなに自信満々なのか、見てみたいものです。」
柴田裕香は故意に躊躇うような様子を見せて、「その医師はまだ来ていないようです……」
「何たる無礼だ!」