灰原優歌:「……」
最初から最後まで、灰原優歌は無表情のままだった。
しかし柴田裕也はまったく気にせず、何枚も写真を撮った後、嬉しそうに待ち受け画面に設定した。
それを見た柴田浪も負けじと。
「優歌、僕、数学の問題がいくつか分からないんだけど、三兄に教えてくれない?」
柴田浪は哀れっぽく灰原優歌を見つめ、若々しさ溢れる反抗的な銀髪のショートヘアが、なぜか忠犬のような雰囲気を醸し出していた。
灰原優歌が下を向くと、確かに彼の携帯には数学の問題が何問か保存されていた。
その様子を見て、柴田裕也は心の中で計算高い奴めと呪った。
柴田浪は雲城大学数学部の学生だが、普段はクラブで過ごすことが多く、大学にはあまり行かない。しかし成績が優秀なため、大学側も大目に見ていた。
なのに今、彼は厚かましくも優歌に問題を聞くなんて!!?