第486章 今はまだ違う

「また今度にしましょう」

ヴィックは元気なく、柴田家が少しは顔を立ててくれることを願っていた。プロジェクトの中心が自分の部門でなくても、せめて長期的な協力関係を築きたかった。

そうでなければ。

Y.G.は彼のことを覚えているだろうか?

その時。

柴田浪は目を落として、携帯を机の上に置き、ヴィックに何か言おうとした。

しかし次の瞬間、ヴィックは突然身を屈めて、急須を取り上げてお茶を注ぎ始めた。ちょうど彼を無視するかのように。

柴田浪:「……」

そして。

柴田浪がヴィックと柴田家について再び話し合おうとした時、彼の携帯が振動して光り、ヴィックの手にある急須が突然震えた。

お茶がテーブルにこぼれた。

次の瞬間。

ヴィックは素早く動き、なんと柴田浪の携帯を真っ先に救い出した。

自分の携帯はそのままにして。

一同:「???」

ヴィックさんにこんな優れた品性があったとは??

他人を助け、自己を犠牲にする?

ビジネスマンにとって携帯の重要性は誰もが知っている。

一本の電話でも、莫大な金額が動く。

しかし今、彼らはヴィックが柴田浪の携帯を先に取り上げるのを目撃した。携帯を間違えたのか???

皆が困惑している中。

ヴィックは長いため息をつき、慎重にその携帯のロック画面の壁紙を見つめた。

「これは誰の携帯ですか?」

「……私のです」

柴田浪は即座に携帯を奪い取り、画面を消した。

これは明らかにヴィックに対して礼儀を欠いていた。

周りのメンバーはヒヤヒヤしていた。

しかしその後のヴィックの反応は更に人々を驚かせた……

「あの……先生、あなたの携帯の写真の方は……」ヴィックは無意識に手をこすり、やや緊張した様子で。

「妹だ」

柴田浪は警戒するような表情でヴィックを見つめた。この男の視線がどこか変だと感じた。

さっきからずっと彼のロック画面を見つめていた。

明らかに優歌に対して、不適切な考えを持っているに違いない!

「じゃあ、彼女は今どこにいるんですか??」ヴィックはそれを聞いて、目を輝かせた!

こんな形でY.G.の兄に出会えるなんて!

なんて幸運なんだ??!

柴田浪は、この40代の男が20歳にも満たない少女にこれほど興味を示すのを見て、即座に目の中の温もりが冷めた。