第484章 大物を放置する

「佐藤社長、EGの社長が到着しました!」

佐藤知遠の表情が一変し、柴田浪と後ろにいる数人のチームメイトも真剣な表情になった。

明らかに、彼らの目標はこのEGグループの社長だった。

EGグループはゲーム産業だけでなく、多くの電子分野の業界にも進出している。

今回、EGの社長が直接雲城に来たことで、皆は当然ながらあの方と繋がりを持とうと躍起になっていた。

柴田浪は目も上げず、むしろ佐藤知行を隅の方に連れて座らせた。

「浪兄さん、社長は私たちに仕事の話をしに来させたんじゃないですか?」他の三人のチームメイトが顔を見合わせながら言った。

「お前が話しに行くのか?」

柴田浪はソファーに無造作に座り、SNSをスクロールしながら、ストロー付きのジュースを飲んでいた。

チームメイトは黙った。

柴田隊長、こんなに上辺だけ従うふりをして、社長がオンラインで激怒しないか心配です。

突然。

隣にいた佐藤知行は柴田浪のSNSの背景画像に目を留めた。「その背景画像は……」

「きれいでしょう?前回こっそり撮ったんだ。」

柴田浪は怠そうに笑いながら言った。「そんなに緊張しなくていいよ。優歌と同じように三兄さんって呼んでくれてもいいから。」

佐藤知行は頷いたが、その背景画像から視線を外しても何も言わなかった。

灰原様の性格からすると、自分の写真が誰かのSNSの背景になっていることを知ったら……

きっと大変なことになるだろう。

でもこの写真はかなりぼやけていて、灰原優歌の艶やかな目元と瞳の中の冷たい光がかすかに見える程度だった。

おそらく灰原優歌を知っている人だけが、それと分かるだろう。

しばらくして。

佐藤知行は佐藤知遠が見知らぬ男性と一緒に立っているのを見た。

柴田浪はその人物が小島茂だと分かった。

……

「小島様が情報をくださったおかげで、EGグループの社長がオークションに来られることが分かりました。ありがとうございます。」

小島茂は何気なく笑って言った。「私も、なぜEGの社長が突然ここに来る気になったのか分かりません。

とにかく、佐藤と小島両家は協力関係ですから、当然Win-Winの関係を望んでいます。」

佐藤知遠は微笑んだ。

そしてこの時。

人々は、普段めったに見かけない大物たちがホールに集まっていることに気付いた。