第610章 福永氏の手腕だね(補3)

彼は初めて見た、ローシェルにいなくても国際音楽協会を騒がせることができる人物を。

あまりにも信じられないことだった。

そして、当初戸田霄が会長を務めることができたのは、彼の代表曲の他に、もう一つの理由があった——彼は移民してきた人で、国籍はローシェルだったのだ。

これは暗黙の了解だった。

国際的な栄誉を得たいなら、移民することが論争を減らす最良の方法だった。

しかし明らかに、YUNは全く移民するつもりがなかった。音楽協会のメンバーになってから、彼女はローシェルに一歩も踏み入れていなかった。

この人に会ったことがなくても、この人の性格は見て取れた。扱いにくい人だ。

吉村鈴は唇を噛んで、「あなたたちはこの人を神格化しすぎよ」と言った。

「神格化ではない、このような人物は、歴史でさえも寛容に扱うだろう」