海野桜は自分で頼んだ夕食を食べた。
東山裕は夜も戻ってこなかった。山田大川が彼の荷物を取りに来て、彼が新しい部屋を取ったことを知った。
別々に住むのもいいだろう。
関係が完全に悪化してしまい、彼女も彼と気まずく過ごしたくなかった。
しかし、彼女が知らなかったのは、夜に食事会に出かけた人たちが全員食中毒になったことだった。
ただし、中毒の症状はそれほど深刻ではなく、軽い場合は下痢程度だった。
デザイナー二人の症状が比較的重く、嘔吐と下痢で脱力状態になりかけた。
彼ら二人は、回復まで数日間入院する必要があった。
東山裕も食中毒になったが、薬を飲んだ後、何事もなかったかのように皆を安心させ、強い精神的支柱となった。
しかし、二人のデザイナーの病状が深刻で、この数日間はまともに仕事ができないだろう。
今回の入札で失敗は許されず、東山裕はすぐに新たなデザイナー二人を呼び寄せた。
そのうちの一人が、林馨だった……
……
海野桜は昨夜の出来事を知らず、朝まで熟睡していた。
目覚めた後、朝食を注文して食べ、そして寝室でテレビを見ていた。
昼食を食べても、誰も彼女を訪ねてこなかった。
彼女が一人で買い物に出かけようとした時、ドアがノックされた。
ノックしたのは山田大川だった。
彼は彼女に言った:「奥様、30分後に皆で観光に行きますが、ご興味はありますか?」
「皆さんで行ってください。私は行きたくありません」海野桜は淡々と断った。彼女は一人で買い物に行きたかった。
山田大川は頷いた。「分かりました」
海野桜は、東山裕たち全員が買い物に行くと思い、彼らと鉢合わせないように、部屋で1時間待ってから出かけることにした。
帽子とサングラスをかけて、海野桜はドアを開けて出た。
そして向かい側からトレイを持って歩いてくる林馨を一目見た!
海野桜は驚いた。彼女がなぜここにいるの?!
林馨は彼女を見て、軽く頭を下げた。「奥様、こんにちは」
海野桜は不思議そうに尋ねた:「いつ来たの?」
「昨夜到着したばかりです」
「……」やっぱり林馨がここに来るとは思っていた。
海野桜は彼女が持っているものをちらりと見た。白いお粥だった。